2025-04-29
中華大戯院は取り壊されたが、ポスターと記憶は今も残る
8月に日本で世界初上映、監督と日本の友人が劇中の舞台を再訪
【台湾・関山発】かつて台東地区最大の座席数を誇った「中華大戯院」が今年4月、全ての施設が解体された。テレビやビデオの普及によりその幕を閉じた劇場だが、かつての栄光を記憶に刻み、多くの人々の思い出を今もなお宿している。そんな劇場をテーマにした映画『ポスターは残る』が完成間近となり、8月には日本・兵庫県で世界初上映が予定されている。監督は日本の友人と共に劇中のロケ地を再び訪れ、映画に込められた想いを新たにしている。

もともと北部の旅行会社に勤務していた陳顥予氏は、コロナ禍による影響を受け、母親とともに台東県関山鎮へ移住。民宿経営と共に「里壠案内所」という名のオーガニック書店を開設した。関山の町民たちに深く愛されてきた中華大戯院が取り壊されることを知った陳氏は、映画制作を通じてその記憶を未来に残そうと考え、監督を招き『ポスターは残る』の撮影を開始。出演者はすべて町民であり、自然な演技が作品に温かみを与えている。
予告編が公開されると、兵庫県の豊岡劇場の主催者が感銘を受け、監督を招いて現地での上映会を実施。さらに劇場の維持管理費用や映写設備購入のための募金活動も成功に至った。

映画の冒頭では「関山にはなんでもある、でももう映画館はない」というセリフが流れ、多くの関山住民に切ない感情を呼び起こしている。かつて祭りや映画上映の中心だった中華大戯院は、今や整地された土地だけが残されている。

『ポスターは残る』の監督・脚本・編集を担当した曾馨瑩(モモ)氏は、「英語タイトルは“Tear Down”であり、取り壊しを意味する。しかしポスターは今も手元にあり、記憶も生き続けている」と述べた。

今年2月には、映画が日本の田中氏の招きにより特別上映され、豊岡劇場のソフト・ハード両面の施設維持資金を募るイベントが開催された。曾氏は「映画を通して町の住民たちが一体感を持ち、劇場を守る力になったことに深く感動した」と語った。
また、劇場運営の専門家である坂田真慶氏も『ポスターは残る』を鑑賞後、関山の町並みと住民たちの温かさに心を打たれ、曾氏とともに関山を訪れ、撮影地を巡った。さらに二人は関山鎮公所を訪問し、彭成豊鎮長に表敬。秘書の林梓群氏が応対し、町長から監督への深い感謝の言葉が伝えられた。
曾氏は「8月3日に日本で世界初上映を行います。この映画の上映を通して、また新たな素晴らしい思い出をつくりたい」と期待を込めて語った。
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